SUMITSUKUには

移住を考える方々へ伝えておきたい南畑の暮らしがあります。南畑には、どんな人達が、どんな暮らしを営んでいるのか。そこには、どんなコミュニティが広がっているのか。ふらりと立ち寄るわけではなく、地に足をつけて「棲みつく(SUMITSUKU)」を考えるみなさんに、知っておいて欲しい里山の暮らし。住んでいる人はもちろん、仕事をする人まで、あらゆる方面から南畑に関わるメンバーが、ざっくばらんに語り合いました。地域の大切な一員として迎えたいからこそ、本音で伝えます。

添田繁昭株式会社
南畑ぼうぶら会議
代表取締役

「南畑の自慢はきれいな水と空気、豊かな自然、元気なじーちゃん達」と語る通り元気がトレードマークの株式会社南畑ぼうぶら会議代表。南畑ぼうぶら会議の活動を通してスマホの技術を修得。今では、SNSも駆使して南畑の魅力を発信中。

神代賢治那珂川市
総務部経営企画課

那珂川市総務部経営企画課、協働のまち推進担当係長。南畑の移住施策の担当として南畑地域活性化協議会や地元住民の活動を行政としてバックアップしている。

長尾牧子株式会社
南畑ぼうぶら会議

2018年3月に設立された地域商社「株式会社 南畑ぼうぶら会議」に所属。2014年から那珂川町地域おこし協力隊として地域になじんできた経歴を活かし、現在は「移住交流促進センターSUMITSUKE」スタッフとして移住希望者と地元住民の橋渡しを行うキーマン。アート大好き。3人の子ども、夫と5人家族+カメ。

田中博子福岡R不動産

これまで20以上の自治体と協働で移住促進事業を進めてきた「福岡R不動産」に所属。一度は関西に就職するも、青春時代を過ごした福岡が忘れられず、思い立ってUターン。南畑チームに加わる。

南畑の魅力を受け継いでいくために、
立ち上がった地域と行政の協力体制

田中:南畑は、まだまだ知られていない福岡の秘境ですが(笑)、まちづくりに関わる人や、情報感度の高い人からは注目を集めていますよね。その原動力は何なのでしょうか?

長尾:「南畑地域活性化協議会」の存在は大きいですよね。通称「ぼうぶら会議」と呼ばれていますが、このちょっと不思議な名前の集まりは、2013年に南畑の地域活性化のために結成された南畑の区長が中心となってできた集まりです。その中心人物の一人が添田さん。その時は、どんな思いで始められたのですか?

添田:私をはじめ、南畑地域活性化協議会の主要メンバーは、みんな南畑で生まれ育ちました。水はきれいで、空気も美味しい。みんなこの地域で暮らすことを気に入っているメンバー。そんな我らが愛する南畑も、ご多分に漏れず少子高齢化の波が押し寄せているんですね。気づけば、空き家もちらほらですし、まだまだ元気ですが高齢者ばかり。ちょっと先のことを考えると、南畑を元気に次の世代につなげていくために、いま、立ち上がっておかなくてはと考えたんです。

神代:南畑のみなさんのそんな思いを受けて、行政でもバックアップの体制をとらせてもらいました。南畑地域活性化協議会の「ぼうぶら会議」という愛称は、行政から声をかけてプロデューサーとして加わってもらった株式会社ブンボの江副直樹さんにつけていただきました。

添田:実は、2018年3月には南畑地域活性化協議会から独立して「株式会社南畑ぼうぶら会議」という法人が新しく誕生したんです。南畑の農業をもっと活性化したり、住みたい人を支援する事業に力を入れたりしていきたいと思っています。
(※株式会社南畑ぼうぶら会議が移住交流促進センターSUMITSUKEの運営を行政より委託されている。)

長尾:ちなみにときどき、「ぼうふら」ですか?なんて聞かれるんですけど、「ぼうぶら」ですよね。

添田:そうそう、この辺りで育っていたかぼちゃの一種。細長い不思議なカタチをしているんです。最近は、あまり見なくなったけど、昔は南畑のどこの庭にも育っとりましたね。

田中:実は、私はこの地域のことはなんとなく知っていましたが、具体的に南畑のことはほとんど知りませんでした。でも、南畑を紹介する「南畑の本」に出会って軽く衝撃を受けました。こんな風景が、私の住む福岡市のすぐ近くにあったんだ!と。

神代:もともと、南畑は30年くらい前から工芸作家さんたちに密かに愛されてきた地域なんです。陶芸家や染め物、ステンドグラスなど、工房が点在しているんですよ。きれいな水と豊かな農作物に惹かれて、こだわりのパン屋、うどん屋、カフェなどを出店された方もいます。でも、知る人ぞ知る隠れた名店でしかなかった。そんな南畑の魅力をまとめたのが、まさに2014年に発行された「南畑の本」。それが好評で2017年には「南畑の本2」もつくりました。プロデューサーの江副さんをはじめ、南畑地域活性化協議会の皆さんにも編集メンバーに入っていただいています。

長尾:本の他に、南畑地域活性化協議会から生まれたイベントが南畑美術散歩ですよね。秋の一日に、南畑に点在する工房やカフェなどをまち歩きしながら巡ってもらうイベントです。2014年に立ち上がったこのイベントも、はや今年で5回目。工房めぐり以外にも、野菜の直売やゲリラライブなど南畑を楽しむ要素がいっぱいのこのイベント。口コミで少しずつ訪れる方も増えて、今年も多くの方に足を運んでいただきました。もうすっかり南畑の秋の風物詩になっていますね。

ほどよく田舎で、住んでいる人もオープン
敷居の低い南畑への移住とは

添田:でも、そんな風に注目は集まっていても、相変わらず問題はあるんです。いちばん気がかりなのは、南畑地区にある唯一の小学校、南畑小学校の児童数がここ数年、減少していること。現在は、1学年1クラスをなんとか維持していますが、このままいくと2学年で1クラスになったり、さらには最悪の場合は廃校したりということも…。この小学校は、南畑コミュニティーの大きな核になっている場所。なんとか残していきたいと思っているんですよ。

長尾:南畑小学校は、教育的にも地域とのつながりが深いんです。運動会など小学校の行事のときは、保護者の方以外にも、地域のみなさんがまるで親御さんのように参加してきてくれるから、子どもたちよりも見学者が多いくらいなんですよ。ユニークなところでは、南畑に工房を開いている陶芸やステンドグラスの先生たちの授業があるんです。小さな頃から本物のアートに触れられるっていいですよね。地域との良い関係性も含めて、未来に残していきたいなと思います。

神代:行政としても子育て世代の移住は、特に力を入れたいと思っています。このSUMITSUKE那珂川では、移住サポートと不動産実務の両方を専門にしている福岡R不動産に協力いただいて、スムーズな移住のための体制づくりを進めてきました。

田中:南畑は、今までの移住のイメージからするととても敷居の低い地域だと思うんです。まずは福岡市から車で30〜40分程度というアクセスでこんなに美しい山や川などの自然環境が手に入る。これには大きな魅力を感じています。福岡で移住といえば糸島市が話題ですが、そこにも負けないポテンシャルがあると思います。もうひとつ、移住の敷居を下げているのが受け入れ側の体制ですね。南畑に通う中で、南畑地域活性化協議会をはじめとして、地元の方々がとても協力的なのを感じています。どんな地域でも、移住の課題のひとつとしてあげられるのが地域のみなさんとの関係づくり。南畑では受け入れ側に、みんなで一緒に地域を良くしていこうという気持ちが強いので、うまく移住希望者とのマッチングができたら、もっと良い場所になるでしょうね。

添田:移住してきているいくつかの家族も、確かに南畑に馴染むのは早かったと思います。そういう人たちは地域の行事などにも積極的に顔をだしてくれていますよ。

神代:そんな地域の人の温かさを活かしながら、もっと移住しやすい地域にするべく、SUMITSUKE那珂川の事業が始まってから、行政と福岡R不動産で協力して活動してきました。実際に事業を通して、移住してくださった方が「南畑の本2」にも何組か登場していただいていますし、いい循環ができてきています。

長尾:2017年4月にオープンした「移住交流促進センターSUMITSUKE」の存在も大きいですよね。移住事業関係者がいつでもいる場所ができたおかげで、特に地域の方がふらりと立ち寄って色々と話して行かれることが増えました。そんな何気ないお話の中に、貴重な空き家情報があったりなんてことも。

神代:ただ、まだまだ課題も多いのも実情です。南畑地域活性化協議会やSUMITSUKE那珂川の活動で南畑の注目度は上がっていて、問い合わせも多くいただいているんですが、なかなかそれに対応できるだけの物件がないのも実情で。その部分については地道に開拓をしていくしかないですね。

長尾:それに、敷居が低いとは言っても、南畑での暮らしには都会にない苦労も待っていると思います。地域行事も人によっては負担になるかもしれないし、車があれば30〜40分程度とはいえ、都会的な便利さはないです。福岡市内と比べると3、4度温度が低いので、雪が積もることもありますよ。

田中:そんな大変さも含めて、南畑の暮らしのリアルを発信していくこともSUMITSUKE那珂川の大事な役目ですね。インタビューやたられば不動産では、いいところも大変なところもどしどし紹介していきたいです。都会との違いを知った上で、そのギャップ以上の魅力を南畑に感じてもらえたらいいなと思います。

添田:特にSUMITSUKE那珂川を見て「南畑でこんなことやってみたい!」と思った人にはぜひ南畑に来てほしいですね。特に新しい発想で色々やってみたい若いプレイヤーの方は大歓迎です。南畑地域活性化協議会の主要メンバーはみんな65歳以上でしたが、この春からは体制も少し変更して地域の若い世代が主要メンバーとして参加してくれています。まだまだやんちゃ盛りのつもりだけど、そうやって若手に引き継いでいくことも大切ですから。柔軟なアイディアを実現するためのサポートは万全のつもりです。一緒に南畑の未来を作っていきましょう!

写真左から田中氏、添田氏、長尾氏、神代氏